6月19日、東京・大手町にあるUBSグループのオフィスで開かれたイベントに、SVP東京の投資・協働先である認定NPO法人サイレントボイスの尾中友哉代表が登壇。UBSグループ社員有志とSVP東京パートナーの計23名が参加し、取り組む社会課題について議論しました。

尾中さんは、耳が聞こえない両親の元で耳が聞こえる子ども(CODA, Chidren of Deaf Adults)として育った経験から話を始めました。家庭では尊敬できる父親が、職場では耳が聞こえないために軽視されているのを見てショックを受け、その後、社会で活躍するためには子どものときの教育環境が鍵だと考え、耳の聞こえない子どもや聞こえにくい子どものための教育事業を興しました。

そして、本格的なプレゼンをする前に、団体の公式ウェブサイトの一部のページをまず見て欲しいと呼びかけました。自分たちの活動の特徴や価値などが、どこまで理解されるのか、逆に伝わらないのか、率直な声を聞きたいと考えたからです。

サイトを見た社員からは、聴覚障害のある子どものための教育の重要性はわかるが活動の具体的な内容がわかりにくい、寄付を必要とする理由がわかりにくいという声などがありました。

その疑問を受けて、尾中さんは耳が聞こえない/聞こえにくい子どものためのオンライン授業が必要なこと、しかしそのための財源確保が難しいことを訴えました。
少子化が進む中、全国的に聾学校が減り、聾学校に通えない子どもが地元の学校に通うことが増えています。しかし、そうした学校では手話通訳や文字通訳がないケースが大半です。聴覚障害のある子どもの学びの機会を確保するため、尾中さんは「放課後等デイサービス」を大阪市で運営していますが、通所してくれる子どもの数を確保できないと事業として成り立たないため、大都市でしか運営できないのが実情です。

そのため、普段は週1回のオンライン授業で、月1回は遠方でも通所してもらって対面で授業を行う仕組みを提案しています。しかし、現在の福祉制度では、オンライン授業は公費助成の対象とならないため、利用家庭の経済的負担が重くなります。

プレゼンの後、尾中さんは、企業の社員などと聴覚障害のある人たちとの接点をどう増やし、関わってもらうか、そして寄付も含めて一緒にできることを見つけていくための方策について参加者に問いかけました。

グループに分かれた議論には尾中さんも加わりました。寄付を募るためにはその資金が何に使われるのか明確に示せることが必要。身近に聴覚障害のある人がいないと、どんな困りごとがあるのがイメージできないところがあるので、尾中さん自身の経験をもっと伝えた方がいい。聴覚障害があってもさまざまな職種で活躍している方のストーリーが広報面では効果的なのではないかといった意見が出て、活発な議論の時間になりました。

2024年に始まったこのセッションは今回が26回目になります。月1回のペースで様々な領域の社会課題に取り組む団体代表に登壇してもらい、UBS社員有志がビジネススキル・専門性を活かして議論し、新しい切り口や実効性のある解決策を考え、SVP東京と連携して実際の取り組みにつなげていく仕組みです。次回は7月23日の予定です。