パートナーストーリー Vol.12 吉本氏
「多様なバックグラウンドの人達がチームで臨むというのが協働の強み」

 

 SVPのパートナーは、そのほとんどが経営戦略や組織開発・マーケティング・会計等のビジネスサイドのプロフェッショナル。その中で数少ない“医療従事者”であるみんじゅさんにお話を伺いました。国際協力の現場や、ご両親の会社を突然継ぐことになり経営者となった経験を通じて感じた「真の課題解決に必要なこと」とは。

 
  

医学部時代に突然の両親の病気宣告、キャリアと会社の選択、そして経営者に。


 私は現在熊本と福岡で2拠点生活を送りながら、介護事業を展開する有限会社ひまわりを経営しつつ、同時に小児科専門医として総合病院でも勤務を継続しています。そんな傍らSVPパートナーとしても活動しており、これまで5団体の協働に関わってきました。

 ひまわりは元々父が立ち上げた会社です。私がこの会社を継ぐことになるまで紆余曲折ありましたが、きっかけは鹿児島大学医学部の学生だった頃に両親の病気が判明したことでした。大学卒業後は小さい頃からの夢だった海外でのキャリアも考えていましたが、看病のため鹿児島の病院に研修医として2年間勤務することになりました。その後残念ながら父は亡くなってしましましたが、会社も家族もある程度落ち着いたため、改めて国際協力を勉強したいと思い、新宿にある国立国際医療研究センターへ就職しました。

 国立国際医療研究センターでの4年間の仕事を終え、その後は海外の大学院に進学するつもりでしたが、そのタイミングでこれまた紆余曲折あり、結局ひまわりを手伝うことになりました。自身のキャリアを優先するか、両親が作ったひまわりを優先するかについて心の底から悩みましたが、家族が大変な時に支えてくれた従業員に足向けできないと思うようになり、ひまわりに関わることを決意しました。そして2021年1月に代表取締役に就任しました。

*熊本介護事業所「有限会社ひまわり」https://himawari-nishiki.com

  

ヘルスセクター分野の国際協力現場で感じた、医療従事者のみでできることの限界


 国立国際医療研究センターでは、小児科医としてのトレーニングを積みつつ、国際協力部門にも所属し様々な途上国での活動に従事しました。主に感染症対策関連が中心でしたが、当然そのフィールドでは医者・看護師・薬剤師などの医療従事者が中心となって活動しています。ですが、例えば途上国の医療に関する課題を解決するときには、低温での物流に関するコールドチェーンや通信インフラ、道路などの、医療従事者だけでは解決できないような様々な問題が非常に大きな壁となって立ちはだかるときがあります。私は、1つの課題には様々な側面からのアプローチが重要であり、様々な分野のスペシャリストと協力し合う必要性を痛感しました。

 また、国際機関の仕事にも少しだけ関わることがあったのですが、プロジェクト終了後の持続性についても課題感を感じたことがありました。多くの資金と人的リソースを短期間のうちに投入してトップダウン的に大きなプロジェクトを展開することの重要性も理解していますが、その反面、継続的にインパクトを発生させるためには、草の根的に現地の人をエンパワメントすることや、ビジネスモデルを確立させ収益性を確保することも大切そうだということを日々感じていました。

  

SVP新パートナー募集説明会に参加、他職種プロフェッショナルとの出会い


 私がSVP東京に参画したのは2019年でした。とあるパートナーの一人からSVP東京の存在を聞き、興味が湧いて説明会に参加したのがきっかけです。説明会に参加して、その場で入会を決めました。医療従事者の私からしたら、他の職種の方とお話をする機会として貴重でしたので、すごく楽しかった反面、自分の専門性について幅の狭さを感じました。

 医療従事者のみで解決できることの限界について深く考えていた自分にとって、様々な職種のプロフェッショナルが集まるSVPは課題解決のあるべき姿の縮図に見えました。忖度なく、利益追求ではなく自分の想いで協働に関わるというシステムがすごいとおもったし、このモデルは自分が今まで関わってきているヘルスケアの問題に横展開できるのではないかと思った。当時ビジネスのバックグラウンドのなかった自分にとってとても刺激的でした。

SVPの各団体との協働で学んだことが、自分の人生に大きく活きている


 SVPに参加して3年近く経ちますが、今まで「デフサポ」「WELgee」「おてつたび」「mog」「イノP」の5団体との協働を経験しています。医師としての仕事、介護事業所の経営と並行して、毎週なにかしらの打ち合わせがある日々が続いています。

 SVPでの協働では、小児科医又は経営者としての背景を活かし協働団体に寄与できるよう心がけています。協働開始時点では、社会起業家の方々の想いに共感し、魅力を感じて協働を開始します。ですが、協働中には様々な問題や困難が発生し、時には起業家の方々の泥臭い苦労を垣間見ることもあります。印象深かったのは、「同じ経営者の立場で相談にのってほしい」と団体代表から相談されたこと。超多忙な協働団体と信頼関係を築くのは簡単ではありませんが、2年間の協働が終わるときにはとても感慨深いですし、その中で自分も大きく成長させられていることに気づきます。3年前ひまわりのために熊本に戻りましたが、SVPでの協働経験がひまわりの経営にも大きく役立っています。

今後、さらに多様なスペシャリストが参画することを期待


 特に医療従事者はビジネスに対する心理的ハードルが高いかもしれません。ですが、医療や保健福祉などにおける課題はSVPの協働団体でもよく取り上げられる重要なテーマなので、私のような専門資格をもった医療従事者がもっと参画してもいいと思っています。
 
 ビジネスは単なる金儲けの手段ではないので、ビジネスの経験に乏しくても、自分の強みを生かして社会起業家の方々の役に立てると思います。また、医療従事者のみならず、もっと多様なスペシャリストが存在するはずなので、ぜひそのような方々にも参画していただき、職種を横断した厚みのある協働で社会的に良い影響をもたらしていきたいと思っています。

(聞き手:黒崎)

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