5月23日、東京・大手町にあるUBSグループのオフィスで開かれたイベントに、SVP東京の投資・協働先である株式会社夢育ての前川哲弥代表が登壇(農園などの事業はNPO法人ユメソダテと共同で運営)。UBSグループ社員有志とSVP東京パートナーなど計15名が参加し、取り組む社会課題について議論しました。
夢育ては、知的・発達障害があっても誰もが夢を育み、成長を実感できる社会を目指しています。特に、知的障害がある人は成人した後は成長するのが難しいという見方が社会にあることに対して、適切な方法を取れば、大人になってからも成長し続けられると実証することを重視しています。東京・世田谷区で毎週、イスラエルの認知学者フォイヤーシュタインの教育手法を取り入れた教室での学習や、身体発達を促すアメリカ生まれのブレンジムという体操と、農園での活動を継続しています。それによる成長を研究論文にまとめて発表し、社会に発信しています。
そして、ユニークな開発商品として、グッドデザイン賞を受賞した「ニコニコイン」があります。
お金の計算をするときに、十の位、百の位、といった位取りの抽象的な考え方は必須ですが、知的障害があると理解が難しい面があるのに対して、ニコニコインに小銭を入れて位ごとに並べることで、視覚的にわかりやすくなります。これを使うことで、自分で買い物ができる体験などを重ね、知的発達や社会参加を後押しすることができるツールです。
この日の議論のテーマは、どうやって地域の方たちとの接点を増やしていくか、です。
イベントなどを企画しても、どうしても単発的な取り組みになってしまいやすいので、ニコニコインと農園を活用して、地域や外部の方との交流が持続するような方策を話し合いました。

グループに分かれての議論からは、ニコニコインは知的障害のある方だけではなく、保育園や幼稚園向けに知育玩具として導入してもらうことで広がりを創れるのではないかという案が挙がり、実現性も期待できそうです。農園の活用では、地元の高齢者の方に農作業に関わってもらう可能性や、例えばBBQなど収穫物を活かしたイベントを定期的に開くなど、さまざまなアイデアが生まれました。

昨年から再開し、今回で14回目を数えるコンサルティングセッション、次回は6月26日です。月1回のペースで様々な領域の社会課題に取り組む団体代表に登壇してもらい、UBS社員有志がビジネススキル・専門性を活かして議論し、新しい切り口や実効性のある解決策を考え、SVP東京と連携して実際の取り組みにつなげていく仕組みです。