1月24日、東京・大手町にあるUBSグループのオフィスで開かれたイベントに、SVP東京の投資・協働先であるNPO法人リカバリーが登壇。UBSグループ社員有志とSVP東京パートナーの計15名が参加しました。
UBSグループとSVP東京のパートナーシップによるコンサルティングセッションは社会的課題の解決に取り組むNPOやソーシャル・ベンチャーの課題について、UBS社員有志がビジネススキル・専門性を活かして議論し、新しい切り口や実効性のある解決策を考え実際の取り組みにつなげていく仕組みです。

この日登壇したのは、リカバリー代表の大嶋栄子さん。札幌を拠点に、様々な暴力被害を背景に依存症をはじめとする精神疾患を発症し複層的な困難を抱える女性に対し、住居提供や就労支援などの包括的援助を続けてきています。

薬物依存、受刑体験のある当事者へのソーシャルワークについては、一般的な理解が十分でないこともあり、大嶋さんから課題の背景について丁寧なプレゼンがありました。

薬物依存というと「ダメ、絶対」の標語に代表されるように、使用者に対する社会的なスティグマがある一方で、大嶋さんからは、背景にはDV、性暴力、虐待、貧困など様々な困難・トラウマがあること、現在は違法薬物の使用者数は減少傾向にあり、市販薬の過剰使用に問題が移行していることなど、最近のニュースも絡めた現場感のある説明がありました。また、普段あまり触れることのない課題について、UBS社員からは多くの質問が寄せられました。

リカバリーでは現在、札幌女子刑務所内での薬物依存女性向けのモデル事業を通じてつながったネットワークと知見を生かし、出所後に多くの当事者が向かう東京での支援に乗り出そうとしています。カフェにおける丁寧な就労支援とシェアハウスの提供により、福祉の枠組みではなくソーシャルビジネスを通じたケアのプログラムを提供する計画です。

一方で、これまで札幌で運営してきたカフェとシェアハウスは、行政の福祉制度の財源も活用して運営してきたため、ソーシャルビジネスとして運営はリカバリーにとって大きなチャレンジになります。講演後のセッションでは、UBSの社員から、収益事業として考えられるカフェ以外のビジネスモデルや、カフェ事業のパイロット事業を始めるうえでUBSの社内イベントに出店するなど様々なアイディアが寄せられました。リカバリーからも課題の認知を広げられただけでなく、質疑応答を通じた気づきと具体的な協力案に対して感謝の言葉がありました。

1年前に再開し、今回で11回目を数えるコンサルティングセッション、次回は2月27日です。月1回のペースで様々な領域の社会課題に取り組む団体代表に登壇してもらい、UBS社員有志とSVP東京のパートナーシップで支援できることを模索していく取り組みを続けます。