12月5日、UBSコンサルティングセッションの2024年度の最終回となるイベントがオンラインで開催され、SVP東京の投資・協働先である認定NPO法人e-Educationの三輪開人代表が登壇。UBSグループ社員有志とSVP東京パートナーの計11名が参加しました。
UBSグループとSVP東京のパートナーシップによるコンサルティングセッションは社会課題の解決に取り組むNPOやソーシャル・ベンチャーの課題について、UBS社員有志がビジネススキル・専門性を活かして議論し、新しい切り口や実効性のある解決策を考え実際の取り組みにつなげていく仕組みです。
e-Educationは、バングラデシュ、フィリピン、ミャンマー、ネパールで活動。途上国の農村部で教育を受ける機会が十分にない若者に対して、映像授業などを活用して支援し、バングラデシュで最難関のダッカ大学に14年連続で合格する高校生を送り出した実績があります。
2010年に活動を始めて10年以上が過ぎ、e-Educationが支援した高校生の中から、社会人になった後に「日本に恩返しをしたい」と考え、来日して働き始める教え子たちが増えてきました。
ところが、「悲しい事件」があったと三輪代表が話します。家族で日本に移住して働いていたバングラデシュの方の子どもが日本の学校になじめず、いじめのようなこともあり、子どものために帰国せざるを得なくなったというのです。
それを機に、外国ルーツの子どもたちの日本国内での教育環境に疑問を持ち、2020年に独自の調査を行ったところ、外国から日本に移住する親世代にとって、就労環境や医療よりも、子どもの教育の方が不安が大きいことがわかりました。
その結果を踏まえて、実績のある海外に加えて、日本国内でも新規事業の開発に取り組み始めました。例えば日本に住むフィリピン人の子どもに、フィリピンに住んでいる学生がオンライン授業を行う仕組みです。
映像授業やIT技術の活用で、e-Educationの経験やネットワークが活かせる分野です。
さらに、日本語の授業などは日本人の先生ができるのですが、特に算数・数学の補習のニーズが高いことがわかりました。例えばフィリピンは学力の国際比較で見ると数学のレベルが下位の国ですが、日本は逆に数学のレベルが世界的にも高く、来日したフィリピン人の子どもにとってはとても高いハードルになりやすいのです。そのため、母国語を使ってマンツーマンで算数を学べることが効果的なのです。
この仕組みの実証事業を、e-Educationでは三輪代表の出身地でもある静岡県掛川市で行政や外国人児童の支援に実績のあるNPOの協力を得て、現在進めています。
民間の力を活用することで、この取り組みをどのように今後、広げていけるのか、グループに分かれて議論しました。
議論では、今は個人別の学習だがグループ学習もできるようにすることで教育効果がさらに上がるのではないか、企業などへの働きかけも必要だが自治体へのアプローチを優先した方がよいのではないかなど、さまざまな角度から意見がでました。e-Educationからは普段とは異なる視点から様々な質問を投げかけてもらうことで視野が広がったという声がありました。
UBSグループとSVP東京のパートナーシップによる取り組みは2025年も継続して実施する予定です。