パートナーストーリー Vol.15 谷口氏
「こういう人たちが日本を変えるかもしれないって、心から思える初めての体験」

SVPでは将来性の高いソーシャル・ベンチャー/社会起業家との協働を中心に活動していますが、組織としての取り組みはそれだけにはとどまりません。今回はSVPで協働をリードしつつ、SVP自体の運営や本業の会社との連携など、幅広く活動をされている谷口さんにお話を伺いました。

協働先「おてつたび」ロゴのリュックサックを背負うポーズ。かわいい笑

 

仕事の中で見えてきた社会課題、子どもができて芽生えた未来への責任感

私は本業ではSIerに勤めていて、新卒入社から今年で20年目くらいになります。
SVPには2020年に入会して「おてつたび」との協働でリードパートナー(LP)を務めました。
その他に趣味としては、大学生のころにバンドサークルで始めたバンドを今も続けています。
新卒時に今の会社を選んだのは、学生時代にバンド活動に打ち込んでいた時に「音楽は仕事ではなく趣味にしたいな」と思ったのが始まりでした。

これからは ITが 面白そうだなぁと感じていたところで、見えないものを作るという点で音楽とITってちょっと似てるかも?という気づきを得て、ITでものを作りたいという気持ちで入社しました。

キャリアとしては、主にエネルギー業界のことをずっとやってきています。初めはお客様の受託案件のプロジェクトマネージャをやっていたのですが、だんだん自分でサービスを作りたいという気持ちが高まってきたところに、6年ぐらい前に転機があって、それまで大阪の事務所で働いてたところから東京に転勤になって今に至ります。

ちょうどその頃から、SVPとも少しずつ繋がってくるんですが、エネルギーに関わる仕事を続けていく中で脱炭素といった社会課題と近しい話が出てきました。
そんな中、仕事でエネルギーの地産地消に取り組むプロジェクトに関わる機会があり、日本の過疎化地域における少子高齢化の課題や、エネルギーの課題というのはメチャクチャ色濃いな、と感じたのが自分自身の中で社会課題に興味を持った一つのきっかけでした。

あともう一つ、東京に転勤するタイミングで娘ができて、その時に自分の子供が生きる未来ってどんな状態になるんだろうというのが不安になって……我々の世代が地球を汚して子どもたちの世代に渡すのは嫌だなと思ってしまったんです。
山を登った時にきた時よりも美しく、じゃないですけど少しでもそういう風に未来の世代に渡したいなと。
そういうところも社会課題に興味を持った出発点の一つですね。

 

関わり方の幅広さ、間口の広さに背中を押されてSVPに入会

東京に転勤になったタイミングで、新しいことをしようと思って社会人MBAを取ったのですが、卒業後にあらためて社会課題についてちゃんと勉強したいと思うようになってきました。そこで受講した同じ大学院のソーシャルベンチャーマネジメントの授業で、ソーシャルセクターの様々な事例が色々と出てきて、カタリバの事例でSVPのケースが書かれていたんですね。

自分の中では本業で社会課題に向き合っていきたいという気持ちはもちろんあるのですが、同時にまだまだ知らない世界に飛び込んでみたいという思いがあって、もしかしたらこの SVP というところの中の人になれるんじゃないかと考えるようになりました。
たまたまその時がSVPの説明会をやってるタイミングだったので、ちょっと飛び込んでみようかなと思って、説明会に話を聞きにいってそのまま入会しました。

説明会に参加する前はソーシャルセクターのイメージとして、例えば貧困の話であるとか難病だとかそういうものに対して、すごく熱い人たち、すごく詳しい人たちがいるような団体なのかなと思っていたところがありました。でも説明会の後は、真剣に社会課題に取り組むことを求めてる方でも、もうちょっとゆるく課外活動としてやってみたいという方でも居場所がある、関わり方の幅広さとか間口の広さを感じましたね。そういうゆるさみたいなところが、ちょっと入ってみようと思う後押しになったところは正直ありました。

 

選考で受けた衝撃から、価値観が揺さぶられる協働へ

SVPに入会して最初の協働選考で出会った、「おてつたび」のことが凄く衝撃的というか、本当にビーンときたところがあって、地域の課題に関心を持っていたので、ああ本当にこういう人たちが日本を変えるかもしれないんだなって、心から思えるというのが初めての体験ではありました。

なんでしょうね、最終選考までのやり取りの中で大袈裟ではなく魂揺さぶられる瞬間が何回かあって、おてつたびに本当に惚れ込んで、こういう団体とSVPが一緒にやることに意義があると思うし、後になって絶対SVPはこの団体と協働したことを誇れるようになるはずと思って、結果として選考を通過して協働できたという感じですね。

協働は今年(2022年)の9月で終了したのですが、実は今日もこの後ミーティングがあったり、協働という枠組みが終わっても活動を続けているような感じになっています。おてつたびとの取り組みに関して言うと、元々協働開始時点で社員が代表の方含めても3人だったんですけど、今では10名以上になっていてスタートアップとしての成長速度が本当に速かったです。
その中で普段の事業だけだとどうしても「事業!事業!!」になってしまうところを、「本当は何をしたかったんだっけ?」という根っこのところに引き戻せる存在としてSVPが役立ったのかなとは思います。

おてつたびがやろうとしている中に関係人口という言葉があるのですが、そういうところに対しておてつたびがいかに貢献しているのか、今後どう貢献し得るのか、といったことを可視化していくことをやってました。移住するとか二拠点生活を送るとかがよくある関係人口のイメージなんですけど、それだけじゃないよねみたいな議論を我々の協働の中では結構していました。例えば周りの人にその地域の魅力を発信するとか、定期的にその地域で作られた食べ物を買うとか、そういった方々も関係人口だよね、と。関係人口という言葉自体がまだ普及してなかったり定義されていない中で、結構最先端のイノベーティブな議論ができたんじゃないかなと思っています。

 

おてつたび社員のみなさんとSVPパートナー with 創業初期から大事にされているおてつたびパネル

自分自身の今の変化みたいなところで少し言うと……先程の関係人口のプロジェクトを、おてつたびのインターン生の方と自分でやっているのですが、例えば大学生のインターンと結構対等な感じでリスペクトし合いながら働いて、日本でもしかしたら最先端の議論になっているようなことをできている。ここにものすごく価値観が揺さぶられているというのはありますね。本業だけやっていたら絶対に触れないような価値観なので。

もしかしたら、本業と並行してSVPの活動をするのは難しそう、と思われる方もいるかもしれないんですけども、自分の場合は使う脳みその場所が全然違ったので意外に大丈夫でした。仕事で忙しい時にはもちろんしんどいっていう瞬間もなくはないのですが、むしろ癒しの時間みたいな感じになっていたりします(笑)。

協働以外では、毎年投資選考のところに関わっています。理由は二つあって、一つはやっぱり手作り感満載でやっている楽しさですね。自分は昔から文化祭の手作り感が結構好きで、ちょっとグダッちゃう(笑)ところも含めて楽しいんです。協働というのがSVPでの活動のメインではあるんですけれども、裏方としての関わり方もあると思っていて、文化祭好きは是非どうぞと思ってます。

あともう一つ、毎年応募していただいた40団体くらいのピッチが聞けるという、新たな社会課題を知るチャンスがあるのがむちゃくちゃ貴重で、お金を払っても中々普段できないことだと思っています。素晴らしい社会起業家の方々が人生を賭けてやられているピッチをたくさん聞ける、それを一緒に考えて運営していけるのがとても貴重な機会になっていると思います。

 

SVPは学校と一緒、使い倒す気持ちでやった方がいい

また本業との連携として、今自分が勤めている会社でSVPプロデュースのソーシャルビジネス勉強会を開催しています。ソーシャルビジネスの枠組みを初回に勉強して、その後2回目以降は実際にSVPとの協働実績がある、ソーシャルビジネスに取り組む団体さんに来ていただいて、プレゼン+ワークショップという形で、ソーシャルビジネスを体感するという内容です。

自分には「漫然とお金稼ぐために仕事をするのではなく社会課題に向き合っていきたい」という思いがあったのですが、会社も最近は「社会の願いを叶える」というメッセージを打ち出してきていて、社会課題解決型の事業の枠組みができたりと、会社自体にも変わらなければという課題感が出てきました。

ただその中で社会課題を解決するビジネスのイメージ、成功事例が会社にはまだないので、自分が本業でその会社で働いていて、SVPにも参加している中で、そこをマッチングするのは自分にしかできないな、と思ってやってみたんです。

「SVPは器」だと、内部ではよく言うのですが、人がただいるだけみたいな所って正直あると思ってます。

協働はするんですけども、それ以外にもSVPを通じて色々企画してみたいとか自己研鑽してみたいとか、自由にできる感じがあります。そういう場として使い倒すじゃないですけど、それぐらいの気持ちでやった方がいいんだろうなと思っています。そういうことがやれれば年間10万円ってめちゃくちゃ安いと思っているんです。ビジネススクールと比べれば全然安いお金で自由にやれる、何もやらなければ大学とかと一緒で何もやらなくて済むんですけども、そういうマインドセットで向き合うのがいいんじゃないかなっていう。

学校と一緒かもしれないですね。

おてつたび新オフィスお引っ越し直後の差し入れ(なぜかインスタントラーメン笑)

 

 

 

(聞き手:鵜殿)

 

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