パートナーストーリー Vol.14 成實氏
「大変でも一番学びが多そうな環境に飛び込もう」

 

 大学卒業後、大手の総合系コンサルティングファームに入社して、わずか2年でSVP東京に飛び込んだ最年少パートナー。協働チームのリーダーとして2年間活躍してきた。何が彼女を駆り立てたのか、そしてそこでの経験から何を得たのか、ざっくばらんに語ってくれた。

2020年11月 協働先ピルコンとの初回ミーティングにて

 

ソーシャル分野での活動に没頭した大学時代

 大学生時代からソーシャル分野に興味があって、自分も将来ソーシャルセクターで働きたいなと漠然と考えていました。

 そんな思いから、大学4年生の時、認定NPO法人very50(ベリーフィフティ)という団体にインターンとして参画しました。高校生・大学生・社会人がそれぞれチームで、日本や東南アジアの社会起業家のもとで課題解決を目指すプログラムを提供する団体です。

 ただ、インターンとして関わる中で、ソーシャル分野で働きたいと思っていても、自分自身に実力がないと、組織として社会的インパクトを生み出せないということに気が付きました。

 そこで、まずは自分を鍛えられる環境に身を置きたいと思って、大手の総合コンサルティングファームに就職しました。

 

就職してからも、社会起業家を応援したい気持ちは強まる一方

 会社では財務・経営管理領域のコンサルタントとして、メーカーや小売業など幅広い業界のプロジェクトを手掛けています。ですが、その一方で、社会課題への関心(ソーシャルという軸)も持ち続けていました。

 入社2年目、2019年のゴールデンウイークに、自身がインターンをしていたvery50のプログラムに参加者として関わることとなり、インドネシアのバリでフェアトレード事業に取り組む社会起業家のところへ行きました。なかなかうまくいかないことも多かったのですが、起業家の情熱に触れ、社会を良くしようと志す人の素晴らしさに感動し、こういったソーシャル分野で活動する人の応援をしたいと改めて思いました。

2019年5月 very50でのプログラムにて起業家、チームメンバーと

 日本に帰ってきて、会社の仕事だけでなく、社外の活動として何かソーシャル分野に関わることができないかという気持ちが強くなりました。
 周囲に相談をしていたところ、たまたま一緒にバリへ行ったメンバーの1人からSVP東京を教えてもらい、2020年に入会することとなりました。

 

SVPに入ってすぐに活動の輪に加わり、協働先を支援するVチームのリーダー(LP)に

 数多くの応募団体のうち、私が最初にこれだと思ったのが「NPO法人ピルコン」。誰もが自分らしく生き、性の健康と権利を実現できる社会をビジョンとして掲げる、中高生を対象に正しい性の知識と判断力の普及啓もうに取り組む団体です。私自身、性のことを知ることはとても大事だと思う反面、なかなか正しい知識を学ぶ機会や真面目に相談できる場所がないことを実感していたので、性の正しい知識を得ることが自分の人生を自分自身で決断し、歩んでいく上で必要不可欠だと思い、応援したいと強く思いました。

 また、社会人になってから「女性」として見られることを感じるようにもなったので、ジェンダー問題に対しても問題意識がありました。それ以外でも、代表の人柄や性の知識を伝える手法のユニークさも気になるところが多く、ピルコンを知れば知るほど、2年間協働したい想いが募っていきました。なので、最終選考で選ばれた時は本当に嬉しかったですね。

2022年10月 ピルコンVチームメンバーと

 

 2次選考に向けての仮Vチーム*の段階から仮のLPをやらせてもらいました。毎週、多い時は週に複数回ミーティングをし、議論を重ねてきましたが、Vチームのメンバーがどんな時も助けてくれ、これなら何かあっても大丈夫だという安心感、信頼関係があったので、最終選考後迷わずLPを引き受けました。

 それから2年間、常にこの団体と伴走したいという気持ちでやってきました。|

*SVPでは団体との協働を行う際、団体との協働プロジェクトチームを「Vチーム」、リーダー役を「リードパートナー(LP)」と呼びます。また最終選考前に、協働時のイメージをお互いに共有するために応募団体とコミュニケーションを取るチームを「仮Vチーム」と呼んでいます。

 協働を通して、よかったことは、団体の成長フェーズに携わることができたこと。はじめは代表が一人で切り盛りする状態でスタートしたのですが、そこから職員の方の採用やピルコンに関わる若手の社会人や学生の組織化が進んでいきました。ピルコンが大事にしたいことを問い続けながら一緒に仕組みを作っていけたことで、協働当初とは見違えるくらい、組織として強くなった姿を見ることができて、とてもうれしく思います。

2022年10月ピルコン代表染矢明日香さんと

 

中・高まで部活に打ち込む普通の生徒が、大学で大きく変わったのは。

 東京生まれです。小・中は地元の公立の学校へ進学し、高校は中央大学の附属高校である中央大学杉並高校、その後中央大学法学部の国際企業関係法学科に進みました。
高校生くらいまでは本当に普通の子でした(笑)。中・高はバドミントンの部活に明け暮れ、学校行事に全力を投じ、学生生活を謳歌していた毎日でした。

 将来は父のようにバリバリ働きたいと思っていました。その一方で大学受験をしなかったことをどこか後悔していて、大学に入ったら何か頑張らないといけないと思ったんです。負けず嫌いなんですね。一流大学に受験して入った人へのコンプレックスもあったと思います。

 そんな時、AIESEC(アイセック)という団体に参加しました。主幹事業として海外インターンシップを行っており、世界中の若者のリーダーシップを育てようという非営利組織です。特に、私は日本でインターンシップをしたい海外学生のため、海外インターンシップの受入先獲得に向けた営業活動を行っていました。当時は学生が営業活動をしていたのを面白いと思ってくれた方々もいらっしゃっり、いろんな出会いや、ご縁をいただき、自分自身の世界や活動を広げるきっかけになりました。

 

忙しい仕事をしながら、マルチタスクをこなす。

 確かに仕事は忙しいですが、社内でプロボノをやっている人も結構いると思います。私も社内では女子学生向けのリーダーシップ教育のプログラム運営を行っています。でも外部でプロボノに参加している人はそんなにいないかも知れません。

 2018年に入社、2020年にSVP東京に参加、そして2022年から早稲田大学の大学院(経営管理研究科)でも学び始めました。結果的に、2年ごとに新しい挑戦をしていることになります。

 どうしてそんなに、いくつも挑戦できるのかと聞かれますが、常に目の前のことを全力で取り組んでいるだけです。ただ、もしかしたら学生時代のほうがもっとハードに活動していたかもしれません。学生団体をやりつつ、アルバイトも授業もインターンも、イベント運営も…。そういった経験の中で、マルチタスクがスキルとして得意になった部分はあるかもしれません。

 あれも、これもと、いろんなテーマに興味があって。そうですね、欲張りだと思いますよ。

 

短期間にいろんな知識を吸収し、経験もする。そして次のステップへ。

 私は常に自分がとりうる一番大変で、でも一番学びが多そうな環境に飛び込むというのが、自分のモットーです。

 最初にSVPのことを聞いた時も、だいたい20歳くらい上、自分の親の年齢に近い世代の方々と一緒にプロジェクトをすることは出来るのか不安もありました。でも、SVP東京の理念や考え方に共感し、多くのことを学べるのではないかと考え、思い切って参加しました。

 また、協働をしている中で、ダイバーシティというテーマを強く意識するようになりました。いまでは自分の中の軸になり、この分野を極めていきたいと思うようになりつつあります。多様なチームだからこそ、生まれる価値がある。この価値観の根底にはSVP東京での経験も大きいです。

(SVPのパートナーになるには1人年間10万円を払います。「年間10万円払ってタダ働きする団体」と冗談混じりに言うパートナーもいます)

 確かに10万円って大きいかな。でも月8千円くらい。ちょっとした習い事でもそのくらいかりますからね。私にとっては、それだけの大きな価値はあったなと思っています。

 まだまだ20代半ば。欲張りな私はチャレンジしたいことがたくさんあるので、SVPを少しお休みすることになるかもしれません。でも私にとってとても大事なコミュニティであり、繋がりであることには変わりません。今後一時的に離れることがあったとしても、いずれ戻ってきたいです。

(聞き手:鈴木)

 

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