パートナーストーリー Vol.13 桑原氏
「本業や家庭以外のところで得られる学びや出会いは、人生の中で本当に大きい」

 

SVPのパートナーの継続期間は人によって様々です。一度卒業した後に復帰するパートナーも珍しくありません。SVPがパートナーの公募を開始した2008年に参加した古参のパートナーであり、途中5年のブランクを経て復帰した桑原さんに「SVPでの活動に感じる価値」を中心にお話を伺いました。

2022年9月、都内某所でインタビュー

 

ルーチンワークの苦手さを自覚して「秘書」という適職に出会った20代

 

私はこれまで外資系企業での秘書としてのキャリアが長く、現在は国際的な環境保全NGOの役員秘書を務めています。

SVPには2008年に参加して、途中5年ほどのお休みをはさみながら3つの団体と協働しつつ、ネットワークミーティングの開催や、外国ルーツの方にまつわる社会課題を学ぶ「mayim mayim(マイムマイム)」という組織内プロジェクトの立ち上げに関わったりしています。

私の社会人としての最初のキャリアは総合商社で、営業経理に配属されました。しかし自分にはルーチンワークが合わないということを悟り、3年目の夏に自分から辞めました。

退職後、日系と外資のジョイントベンチャーのM&A会社の取締役秘書に転職し、M&A案件の資料作りや取締役のサポートを行ったのが、秘書として最初のキャリアになりました。

やってみたところ秘書は向いていると感じました。ものごとをコーディネイト/オーガナイズする、不確定要素の多い中から正解を探していく、人のサポートをする、状況の変化に対応する、なにより定型業務ではないのが性に合っていました(笑)

元投資協働団体、難民支援協会/ニッポン複雑紀行の写真展にて

 

リアルな「難民」との出会いが自分の中の宿題として残った

 

M&A会社の次に入った外資系の医療機器メーカーで、扱っている注射器の廃棄について興味を持ち環境への影響を調べたことが、地球環境の課題を考えるきっかけになりました。

そこから、家の近くにあった「グローバルヴィレッジ」という環境保護やフェアトレードに取り組んでいる国際NGOのイベントに参加したり、ボランティアで運営のお手伝いをするようになりました。

ボランティアについては、中学から大学まで一貫のミッションスクールに通っていたこともあって、世の中の災害などがあった時に祈る、弱き者に思いを馳せる、他者のために奉仕する、といったことを在学中の教育で植え付けられていたので、やって当たり前という意識がありました。学校教育の影響は大きかったですね。

医療機器メーカーで勤めた後、海外に一度目を向けたいと思いスウェーデンに4ヶ月ほど短期留学をしました。

スウェーデンでの滞在中に偶然、イラク難民の方に出会い、そこでニュースでしか知らなかったリアルな「難民」という存在をはじめて実感しました。
故郷から離れた言葉もわからない遠い国に来ているという点で、当時の自分にはシンパシーもあったのだけど、ただ自分と違ってその人にはもう帰れる国がないという厳しさが伝わってきて。

その時の気持ちが自分の中で宿題として残っていて、後に「日本における外国ルーツの方にまつわる課題」に関わっていく原点となっています。

2018年2月、協働先のPIECESの懇親会にて

 

SVPのフラットな文化の中で、幅広い経験を積む

 

SVPのことを知ったのは、コーアクティブ・コーチングのワークショップでSVPの初期からのパートナーと隣り合ったのがきっかけでした。

SVPは「NPOを助けるNPO」だと聞いて友人が代表を務めているNPOを紹介したところ、その団体がSVPの主催するネットワークミーティングにゲストとして登壇することになったので、見に行ったのがネットワークミーティングに参加した最初です。

その後コーチングの資格を取得した際に、このスキルをソーシャルセクターのために使いたいと思い、ネットワークミーティングに参加する回数が増えていき、2008年にSVPに参加することになりました。

SVP東京創業者、井上英之さんと

 

SVPには国際協力の大学院を出てアフリカで活動していた経験があったり、外資コンサルでバリバリやっているようなすごい人がたくさんいて、当初は自分のような一般人が役に立つのだろうかという不安はありました。
私は秘書のキャリアはゼネラリストだと思っていて、専門的なハードスキルがないという引け目があったんです。

ただ、SVPは今も当時もフラットで、すごいキャリアの人だろうが普通の人だろうが意見を言えばちゃんと聞いてくれる文化があって、居心地が良かったです。入会後は、団体との協働に参加する以外にも、それまで参加者側だったネットワークミーティングのディレクターを務めたり、ボードメンバーとしてSVP自体の経営に関わったりと幅広い経験をさせてもらいました。

 

バーン・アウトして感じたSVPの「濃い情報」の価値

 

2009年にはSVPとは別に、仲間と「セブンジェネレーションズ」という団体を立ち上げるなど、SVP内外でソーシャルセクターでの活動を広げていったのですが、その結果バーン・アウトしてしまい、2012年に一度SVPを卒業しました。

2010年、セブン・ジェネレーションズ主催のエクアドル熱帯雨林ツアーにて。先住民アチュア族のフェイスペインティング。

いったんソーシャルセクターでの活動を整理して、SVPも卒業後はネットワークミーティングに数回参加するくらいの関わり方に留めていました。とはいえ、社会課題への興味を失っていない中で、SVPの中にいた頃に得られていた濃い情報が、やはり外にいると入ってこないなという思いがありました。

そんな中で「SVPまつり」というイベントがあって、運営のお手伝いに手を上げたら色々やらされて(笑)、それがきっかけで戻ってくることになりました。

再入会後は、子どもの孤立に取り組む「PIECES(ピーシーズ)」、難民やシングルマザーといった孤立しがちな人々のデジタルスキル習得と経済的自立の達成を支援する「Robo Co-op」との協働に関わっています。
Robo Co-opはこれから協働が立ち上がる段階ですが、難民支援に取り組まれているところに共感して、今回はじめてLP(Lead Partner)を務めることになりました。

PIECESとSVP東京、協働終了の最後のミーティングにて

 

協働の他に現在はSVP内で外国ルーツの方を取り巻く課題についての勉強会「mayim mayim(マイムマイム)」を立ち上げて、現在も定期的にミーティングを行っています。外国ルーツの方を中心に置くことで、様々な日本の社会課題がくっきりしてくることを実感しています。

私は自分たちの興味を持っている外国ルーツの方の課題を中心にしてマイムマイムを立ち上げましたが、例えば「こども」とか「農業」とか、いろいろなテーマを軸にして社会課題についての知見を蓄積していけると、組織としてできることが増えていくんじゃないかなと思っています。

2017年2月、SVPまつり

 

よりダイバーシティのあるSVPで社会課題への知見を蓄積していきたい

 

今後のSVPに期待することとして、もっと女性のパートナーが増えてほしいですね!
女性だけでなく、外国人パートナーも含めて一層ダイバーシティのあるコミュニティになって行くことを願っています。

女性はやはり、子育て・家事をしつつ、仕事もしつつ、さらにソーシャルな活動も、というのは時間的に厳しいというハードルがあります。社会の状況を映しているとも言えるので、女性の周りが「プロボノいいじゃん、行っておいで」と後押ししてくれる世界になるといいですね。

本業や家庭以外のところで得られる学びや出会いは、人生の中で本当に大きいと思うんです。「SVPだから出会えた人たち」がいるということに素晴らしい価値を感じています。

SVPでは「行動するのはあくまで自分」というのがパートナーとしての基本スタンスですが、困った時に手を上げれば必ず誰かが助けてくれるコミュニティなので、社会課題に興味がある方は気軽に参加してみてほしいです。

(聞き手:鵜殿)

 

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