パートナーストーリー Vol.8 新田氏
「自分に何ができるのか?という不安は、自分にできることをやればいいという安心に」

柔らかい風貌に似合わず、無法地帯となりがちなSVP東京の選考会を笑顔でビシビシと仕切っていたのは、2018年からパートナーとして参加している新田(にった)氏。

パートナー属性としては少数に入る、20代女性。なぜ彼女がこのような活動(SVP東京)に身を投じているのかを、ざっくばらんに話してもらった。

そもそも大学は、理系科目が好きだったという理由で理系に進み、大学院では摩擦の研究などをやっていたという。理系の大学院を出ると、基本一度配属されたら異動がない類の職種が多く、自分には向かないと考えていたらしい(自称、飽きっぽい)

少し幅を広げ、学部に囚われずに選択肢がある某ガス会社に就職をする。最初は古くなったガス管の入れ替えの企画から設計、施行までをチームで進める仕事だったそうだ。設計書通りにガス管が埋まっていることはあまりないという現場は意外に面白かったものの、漏れたりしないことが前提のため、忙しいわりに感謝されることがない業務でモチベーションを維持するのは難しかったという。

2018年は、実は変化の年だったと振り返る。1月に結婚をし、前年知ったSVP東京に参画。春には社内で異動があり、新規事業を創る部署へ。

「一気に世界が広がりました」

元々、強く社会貢献がしたいとか、ソーシャル業界に関わりたいとか、考えていたわけではなかった。ぼんやりと「世の中に良いことをしたい」「環境に良いモノを提供している会社が良い」などと考えていたくらいで、ボランティア経験なども無かったという。

会社に入って設計の仕事をしているときは、それこそ社内と関係会社の狭い世界しかつながりが無く、焦燥感や息苦しさを感じ、会社の先輩が企画した若手向けの勉強会に参加するようになった。そのひとつに登壇していたのが、SVP東京代表の藤村氏。

「ああ、これだ!」

藤村氏の話を聞いているうちに、ピンときたという。何がそこまで響いたのか?今まで何も踏み出せていなかった自分が、今の会社で仕事も続けながら何かできるかもしれない・・・

説明会に行き、何人かのパートナーにも会えた。プロボノというからには、何か特殊なスキルが無いといけないのでは?という懸念は、「人それぞれだよ。たまにミーティングに参加して、お菓子の差し入れしていくという人もいるし(笑)」という話で雲散霧消。安心させるための極端な例だったかもしれないが、「普通に会社勤めをしていただけの自分にもできるのか?」という不安を抱えていた新田氏には、大きな後押しになったという。

今、新田氏はグッドネイバーズカンパニーという、プレイフルケア(楽しさやワクワクを感じられる社会参加の場を処方すること)を通じて地域全体のウェルビーイングを創出しようとしている団体の支援チームに所属している。エリア・領域としては他にも興味ある団体はあったものの、性格的にマルチにうまく関わるのはできないと、この団体への支援にしぼった。社会課題としては大きいテーマだが、それを楽しく解決しようとしているその発想が面白かったという。

「いろいろと新鮮で、そして楽しい」

やってみてどうでしたか?と質問したときの第一声が、「楽しい」という言葉だったのが印象的だ。色々なバックグラウンドの人がいて、発想も多様。皆でわいわいガヤガヤとディスカッションをするという状況がとにかく新鮮。そして、団体を内側から見ることができるというのも貴重、と。傍から見ているとうまくいっているように見えても、実際中に入ってみると、困っていることが多い・・・外には見せられないような本音(弱音)をぶつけてくれる、同じ目線で考えることができる、というのも、モチベーションがあがるポイントと語る。

正直、他のチームメンバーに比べて自分が貢献できるところは少ないと感じていたそうだが、それぞれの得意領域の隙間を埋めながら、割り切って自分が成長させてもらっているという。今、自分が会社で関わっている新規事業にも活かせるところは多く、密度の濃い情報をどう精査して、どう考えるべきか、常に自分が考えさせられています、とあくまで謙虚。

「私はフィーリング重視なんです」

今、協働先だけではなく、SVP東京内でもコミュニティ部のメンバーになったり、イベントの司会を任されたりと、アクティブに色々と参加をしている新田氏。「ノリというか、フィーリングですかね」SVP東京の運営側の活動にも関わっている理由を聞くと、こう回答していただいた。見ていると(運営側に関わっている人達は)大変そうだな、と思ったが、これも関わり方は人それぞれ。負荷が無い範囲で手伝えることも多い。であればもっと皆に関わって欲しいし、どうやったら運営側にも関わってもらえるかを考えていきたい、と語る(取材者、涙)。

「雑多がいいですね」

定番の、どんな人にSVP東京を勧めたいか、どんな人に入ってきて欲しいか、という質問。

「色々な人に入ってきて欲しいですね。バックグラウンドというか、属性が偏っていると、同じような意見しか出てこない。例えば今、自分が関わっているチームには、普段九州にいて毎回は参加できないパートナーの女性がいるのですが、彼女は行政関連に強いので、たまに入って意見をもらうことがとても価値になるんです。向いてる、向いてない、とかはあまり無いと思うので、色々なタイプの人に入ってきて欲しいですね。お金払ってまで参加しようと思う物好きな人に、そんなにおかしな人、いないと思いますよ(笑)」

(聞き手:桐ヶ谷)