パートナーストーリー Vol.7 浦部氏
「所属し続けているだけでだけで学びがあり、価値がある」

浦部氏は、SVP東京に在籍しながら、たった3年間の間に、会社勤め⇒MBA留学⇒ベンチャー企業の海外部門立ち上げ・・・という怒涛のライフシフトを推し進めたという、チャレンジャー。

「僕の場合は、ソーシャルありきではなく、起業ありきだったんですよ」

人懐こい表情で画面越しに語る浦部氏は、現在、とあるベンチャーの海外立ち上げ担当として、フランスに奥様と在住している。パリ街角のカフェでPCを立ち上げて日本からのインタビューに対応する後ろで、フランス語が飛び交っている・・・なんとも羨ましい、クールな働き方だ。

元々新卒で外資系コンサル会社に就職し、5年ほどで楽天に転職。国際部を経て、経営企画室に異動となる。漠然と、いつか自分でビジネスをやりたいとは思っており、どうせやるなら何か、世の中に役立つことをしたい、というぐらいの漠然とした方向性が、当時もっていた「ソーシャル」意識だったという。

「自分の学びのため、という気持ちは正直、強かったですね」

たまたま参加した、日本財団主催のイベントで、SVP東京の創業者である井上氏が登壇。会場には、当時の岡本代表や、パートナーをやっているという元同僚がおり、そこで初めてSVP東京の存在や活動について知った浦部氏は、翌年、SVP東京にジョインする。将来的に起業するにあたり、スタートアップやアーリーステージの会社・団体を支援できるのは面白い、色々学べるのではないか、と、そのときの目的はどちらかというと、自分目線だったという。

入会した年にチームメンバーとして支援することになったのは、AsMamaという、子育て支援をしている団体だった。テーマに元々興味があったというよりは、協働が決まった団体の中で、単純に面白そうだった、という参加理由。団体としても、代表個人としても、業界での知名度は高く、協働自体へのプレッシャーが強い中、自らがLP(Lead Partner)として協働がスタート。課題を共有するにも、まずは現場を知らなくてはならないと、ひたすら現場を駆けずり回り、膨大な時間をかけて貪欲に色々なことを吸収していったという。

「会社って、そんなにロジカルじゃないんですよ」

協働を通しての学びについて質問をすると、そんな答えが返ってきた。それは、AsMamaとの協働からだけではなく、元々社長に近い位置で働いていた楽天での経験、AsMamaとの協働、そしてSVP東京という特殊な団体の運営を肌で感じる中で、素直に感じたことだという。大企業の楽天と、小さなソーシャルビジネスが、そんなに変わらない・・・という。両方体験した者にしかわからない、面白い感想だ。

協働を通してだけでなくとも、SVP東京に所属していることで、多くの学びがあるという。例えば、毎年何十という団体が応募してくれて、団体を通して、世の中にこんな課題があるのか、という気づきを与えてくれる。また、スポットのコンサルでなく、ゆるやかに長期的に支援をすることによって、企業や団体の様々なフェーズを体感できる。そしてこれは、改めてというより、ずっと感じ続けていることだと言うが、「組織はやはり人」ということを実感することが多々あるという。

「SVP東京は、所属しているだけでも自分にとっては価値があるんです」

将来的に起業を志す浦部氏は、海外でもやっていける力を今のうちにつけておきたい、という想いから、楽天を辞めてMBA留学をする。アントレプレナーシップに定評のあるスペインのMBAで1年超の時間を過ごし、様々な学びを得たという。在学中にビジネスコンペのために結成したチームで起業も検討したが、実現には至らず、力量不足を痛感。この頃には、高齢者向けのビジネスという方向性が決まってきていたため、スタートアップベンチャーでインターンをしながらアンテナを張っていたところ、現在所属しているヘルステック系ベンチャーの、ヨーロッパ事業立ち上げ担当を打診され、現在に至る。

海外にいて協働には参加できないのに、毎年パートナーとして所属し続けている理由を問うと、それだけのメリットがあるという。協働先だけでなく、ソーシャル業界の様々な情報が入ってくること、またSVP東京というユニークな組織を内側から見られること、そして面白いパートナーがたくさんいること。

「どんな人がジョインしたとしても、何かしら得るものはあると思いますよ。キャラのたっている組織なので、とりあえず興味を感じたら、関わってみてほしいですね。自分もそうでしたが、大きな組織に所属して働いていた人などは、学びや気づきがたくさんあると思います。個人的には、実際に起業したことがある人などがパートナーとしてもっと加わってくれると、協働にも厚みが増しますし、そういう人からのインプットは非常に価値があると思っています」

(聞き手:桐ヶ谷)